遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続財産の確定後、相続人全員で話し合って、財産をどのように分けるかを決めることです。

相続人のうち一人でも欠けている場合は無効となります。

包括受遺者(特定の財産ではなく、一定の相続割合を遺贈された人)も、相続人と同一の権利を持つので、遺産分割協議に参加します。

なぜ遺産分割協議が必要なの?

  • 共有状態からの脱却: 故人の財産は、相続開始と同時に相続人全員の共有となります。遺産分割協議を行うことで、共有状態から抜け出し、各自が自分の相続分を明確にすることができます。
  • 相続トラブルの防止: 相続人同士で遺産の分割について話し合い、合意することで、後のトラブルを防ぐことができます。
  • 相続税申告への対応: 相続税の申告を行うためには、遺産分割の状況を明確にする必要があります。遺産分割協議が終わらない場合でも、申告期限までに法定相続分通りに分けたとして、相続税を各自納税する必要があります。その際、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などの税制は使えません。

遺産分割協議の流れ

  1. 相続人の確定: 相続人全員が誰であるかを確定します。
  2. 遺産の調査: 故人の財産(不動産、預金、債務など)をすべて把握します。
  3. 遺産分割協議: 相続人全員が集まり、遺産の分割方法について話し合います。
  4. 遺産分割協議書の作成: 話し合いの結果をまとめた遺産分割協議書を作成します。
  5. 手続きの完了: 遺産分割協議書に基づき、不動産の名義変更や銀行口座の解約などの手続きを行います。

遺産分割協議で決めること

  • 遺産の分割方法: 現物分割、換価分割、代償分割など、さまざまな方法があります。
  • 分割割合: 法定相続分を基準に、相続人全員で合意した割合で分割します。
  • 債務の負担: 故人の借金などの債務を誰がどの程度負担するかを決めます。

遺産分割協議がスムーズに進まない場合

  • 家庭裁判所への調停: 遺産分割協議で合意ができない場合は、裁判ではなく、家庭裁判所へ遺産分割の調停を申し立てることになります。
  • 遺産分割の審判: 調停が成立しない場合は、審判の手続に移行します。審判でも終わらない場合、高等裁判所に即時抗告という形になり、裁判に移行します。

遺産分割協議の注意点

  • 期限: 相続開始を知った時から3ヶ月以内に、相続放棄の手続きを行わない限り、相続が開始されます。
  • 相続分の放棄:相続人が単純相続した後に、遺産を取得しないこともできます。この場合、残された借金などの相続債務を免れることはできません。 
  • 遺留分: 一定の相続人は相続財産を最低限取得できる権利を持っています。
  • 相続税: 相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税がかかります。

遺産分割協議のメリット

  • 相続トラブルの防止: 相続人同士の紛争を防ぐことができます。
  • 手続きの円滑化: 専門家のアドバイスを受けることで、手続きをスムーズに進めることができます。
  • 精神的な負担の軽減: 相続手続きは、精神的な負担が大きいものです。専門家に相談することで、その負担を軽減することができます。
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