例えば父が認知症になってしまうと、父は父の資産の管理ができなくなることがあります。
そういった場合では、成年後見人制度を利用することになります。
でも家族に財産を信託をしておけば、父が認知症になっても、生存中から死亡後まで、父の財産の管理・承継についてきちんと決めておくこと(信託契約)ができます。
なぜ家族へ信託するのか
成年後見人の場合は、たとえば認知症になった父の自宅を処分して介護施設に入居する費用をまかなおうとしても、裁判所の許可が必要です。
でも家族への信託で息子に信託すると決めておけば、息子が財産を処分し、そういった費用を捻出することができます。
(ただし受託者には身上監護権がなく、いざ施設への入居の際、本人に代わって契約手続きを行うことができません → 成年後見制度を利用する必要があります)
大きな3つのメリット
1 親の財産管理が容易 … いざという時に安心
2 遺言の代わりにもなる … 将来財産をどうするのか事前に決めておける
3 二次相続以降も指定可能 … 先祖代々の土地を誰に継がせるか決めることも
その他、倒産隔離機能 … 家族への信託後、もし父の会社が倒産しても、こどもに託した信託財産は差し押さえられません。
(信託財産は受託者・息子の名義になりますが、受託者・息子の相続財産にならないため)
大きな3つのデメリット
1 信託財産は、自分(父)の財産ではなくなります。
なので、自分で、自分の財産だったものを処分することができません。
2 信託財産は、受託者(息子)の名義になり、息子に税金の支払い義務。
3 受託者(息子)は、信託財産を自分の財産とわけて管理する必要。
(あくまでも信託財産)
4 本人(父)の名前で契約をする必要がある場合、家族への信託では契約不可。
(成年後見人なら、父の名前で契約可能)
あと、兄弟がいる場合は、家族への信託で兄弟間で疑惑をもたれることもあります。
メリットも大きいけれど、デメリットも多いのが家族への信託です。
詳細については、こちらの記事もご覧ください → 家族信託のデメリット